望遠レンズ強化月間

ジャンク箱に夢を求めて

中学、高校の頃、リサイクルショップのジャンクレンズを漁って遊んでいた時期があった。

カビたタクマ―の55/1.8なんぞはSMCタクマ―、スーパータクマーなどの区別なく1000円や500円で手に入ったし、2000円で買ったペンタックスM50/1.7は明るい単焦点レンズの楽しさを教えてくれた。

ただそれは、新品のレンズが高くて買えないから、ジャンクレンズで遊ぶ以外にカメラ遊びの楽しみを広げる術が無かっただけであって、それらは決して何か突出した長所があるわけでもない。無価値なものとされたからこそジャンク箱に放り込まれていたわけであって、結局のところそれで満足しなければならなかったからこそ、その通りにしていただけなのである。

 

ソニーのα7が発売されて以降、かつてジャンク箱に無造作に放り込まれていたような「オールドレンズ」が見直され...というか、私の思う本来の価値を超えるような値段で取引されるようになった。一様で陳腐な売り文句でネットオークションに並ぶばかりでない。今ではタクマ―の55/1.8が新宿のカメラ店で18000円の値を付けて並んでいる。当時の私に2023年現在の状況を教えても、絶対に信じないと思う。

 

大学生になって以降、転売屋に狩りつくされたジャンク箱を漁るのも虚しくなり、その頻度はだんだんと減少していったのだが、久しぶりに面白いと思えるようなレンズとの出会いがあった。

 

smc PENTAX-F80-200/4.7-5.6

この時代のペンタックスのズームレンズは全くのノーマークだったので、こんなレンズが存在すること自体知らなかった。

デザイン的にはどこから見ても91年のZ-1あたりから始まるFAレンズシリーズのものだが、このレンズはSFXシリーズ時代のF銘が与えられている。

これも全く知らなかったのだが、当初FA銘で発売されたレンズは電動ズーム、つまりパワーズームが備わったレンズのみで、パワーズームを持たないズームレンズはF銘で発売されていたらしい。

MZ-M向けと思われるMF専用のA80-200/4.7-5.6も同時期に存在したようだ。

ちなみに本レンズは1994年ごろの発売らしいが、この辺りのカメラ製品はネットでもかなり情報を探しにくいので困る。とりあえず94年2月付けのカタログに掲載されていることは確認できた。希望小売価格は30000円ちょうどだったみたい。

 

で、何が面白いのかと思ったのかというと、これである。

ズームリングを回しても全長が変化しない。最初壊れているのかと思ったが、なんと安価なレンズにも関わらずインナーズームなのである。

以前使っていたsmc-DA55-300/4-5.8などはズームすると伸びた鏡胴がガタつき、それが原因と思しき像流れが発生するなどしていたため、伸びない点で写りの期待値が若干高い。

少々のクモリと、微小なカビが確認できたが、まあ1000円ならいいだろうということでインナーズームが決め手となってお買い上げ。

 

試写

PENTAX K-1MarkII+F80-200/4.7-5.6

思ったより良く写って驚いた。ちなみに100mmあたりで、若干絞ってF6.3。距離は最短の1.1m付近だったと思う。

赤い実はナンテンだろうか。実の皮の部分など、かなりディティールが良い。

 

PENTAX K-1 MarkII + F80-200/4.7-5.6

こちらはテレ端200mm、開放ではかなりポヤポヤだったので、1段絞ってF8。

距離は20mくらいか?

まあ悪くはないけど...って感じ。新品3万円のズームと考えればよくやってると思う。

ポヤポヤはしてても像が流れてるような感じはしないので十分な写りと思う。

 

ヨッメ氏のことも撮ってみたが、どうもこのレンズは近景ではそこそこ私の好みの画を吐くようだ。今までKマウントの35mm対応の望遠は、MFの135/3.5と200/4しかもっていなかったので、AF対応のコンパクトな望遠ズームが手に入ったのは素直にうれしい。

フォーカスは当然ボディ内モーターなのでかなりうるさいが、動かなくなる超音波モーターよりはるかに安心できるのでこれでいい。1000円だし。

 

久しぶりにジャンク箱から面白いレンズを買えて、非常に楽しめた。

すこし懐かしい感覚だ。

次は...ニコンの望遠が欲しいな?

 

つづく