ロードスター990Sを試乗した。

オイル交換に来ただけ

あなたがカーディーラーに足を運ぶ理由は何であろうか?

新車を買うため?最初の一回はそうかもしれない。それとも受付にいる美人のお姉さんがお目当てか?

否、愛車のメンテナンスのために足を運ぶことが大多数であろう。

私も、前回のオイル交換から4500km走行したマイ・ロードスターのオイル交換のためにマツダディーラーへと足を運んだ。

受付のお姉さんに下心も、ましてやクルマを買う気なんてさらさらない。

カメラ店に立ち寄るカメラクラスタたちも、買わないと言いながら帰りには紙袋を手に提げているものだが、いやしかし値段の桁が違う(ライカ、ハッセル等除く)。ゲリラ納車なんてありえないのだ。ライカやハッセルは欲しいと思ったら買え。税金も保険料もかからん。手をこまねいてるうちに値段が上がっちゃうぞ!

これからも銀塩カメラの値上がりが続くかは知らないけどね。

 

話を戻そう。

大体、新車で欲しいクルマなんて、これから出る(かもしれない)直6FRのMAZDA6か、一応発売が明言されているNDロードスターのファイナルエディションくらいである。今はクルマなんて欲しくない。

ましてや、今乗っているのと同じクルマの試乗なんてするわけがない。

 

あれ?試乗車990Sなの?

PENTAX K-1 MarkII + FA77/1.8

ディーラーに入る直前、信号待ち。ロードスターから降りてくる陽気な若者が一人。

「よいものであろう...ロードスターは...さあ店内に戻ってハンコを押すのだ...」

などと心の中で妄言を吐く。

若者がロードスターを欲しがっているのを見ると、まだ日本のスポーツカー市場も捨てたものではないなあ、と考えてから、ふと試乗車のロードスターに目をやると、レイズの鍛造ホイールが付いている。黒いブレンボのキャリパーも付いている。

間違いない...990Sだ。

PENTAX K-1 MarkII + FA77/1.8

昨年末の特別展示会以来のご対面。当時見た記憶をなぞるように、通常グレードとの違いを確認していった。スタイリッシュな鍛造ホイールに、控えめに主張するブレンボの対向4ポッド。そして特徴的な青い幌である。初めて見た当時は、白ボディに青幌だとキャロル360のデラックス車のようでかわいらしいと思ったものだ。

ネイビートップという、やはり青幌のロードスターもあったが、そちらは5月末に受注が終了しているようだ。だから、青幌は現在では990Sの専用装備となっている。

Leica M10+NOKTON 50/1.1(再掲)

今回も眺めるだけ。今回も何もない。それに試乗したところで、どうせ素人に違いなど分かるはずなどない。きっと、じゃがりこのサラダ味とじゃがバター味くらいの違いしかない。チーズ味はさすがにわかるでしょ。

青いロゴのブレンボ

 

一通り990Sを眺め、店内に戻ろうとした刹那、背中に気配を感じる。誰だ!!

営業マンは「試乗してみますか」を唱えた!

え!いいんですか!

グハア!効果は抜群だ!!

PENTAX K-1 MarkII + FA77/1.8

というわけで、以下試乗編である。

慣れた所作でコックピットに滑り込む。違いはマツダコネクトのモニターが無いことと、エアコンの吹き出し口に青い加飾が入っていること。他には、自分のクルマにあるシートヒーターのスイッチが無いのと、ステアリングまわりもスイッチが少なくすっきりとしている。だが、全体的には実に見慣れた景色だ。新車のシートは感触がいいなあ。やはりヘタるもんだよな...。クラッチペダルを踏む。軽い...。クラッチと畳は新しい方がいい。

 

エンジンイグニッション。聞きなれたエキゾーストノート。ゆっくりと道路へ。

チーズ味とじゃがバター味くらい違うはずだが、まだ何も違いは感じられない。新車はいいなあ!くらいのもの。

だが、前方赤信号、違いの実感その1。

ブレーキの利き初めの位置が違う。感触が違う。なんども停車を繰り返すうち、止まる直前の微調整がやりやすいことに気が付いた。

 

幹線道路に乗って加速していく。違いの実感その2。

ギャップを超えたときの感触が違う。

もっとも、私のロードスターは2年3万6千キロの分ヘタっているはずだから、実は新車の時は同じような感じだったのかもしれないが、しかしソフトでしなやかに路面をいなしている感触だった。うちのSスペは新車時もう少し硬い印象だった気がする。

 

レーンチェンジ、右折左折...違いの実感その3。

ステアリングを切る感触、ヨ―方向のGが身体にかかり始める感触...ともに自然で実にスムーズ。これと比べると、自分のロードスターでは、ステアリングを切ってから車体が動き始める前に、一瞬抵抗されるような感じがする。クルマが直進したがる感じというか。おそらくリヤのスタビライザーが無いことが関係しているのだろうが、新兵器のKPCのおかげか、めちゃくちゃにロールするようなこともなかった。ああ、KPCオフも試してみればよかったな。

 

990Sまとめ

PENTAX K-1 MarkII + FA77/1.8

感じた違いをまとめると、

ブレンボは良いぞ

・990Sの足はしなやかで感触良好

 

こんなところだろうか。

端的に言って、とても良かった。

これは欲しい...と言いたいところだが、モニター、シートヒーターが無い。モニターが無いから当然バックカメラも無い。クルーズコントロールもない。これらはオプションでも取り付け不可なので、ここが購入を躊躇させるポイントかと思う。

しかし、ロードスターの作り手の想いが一番濃く味わえるのは990Sだろう。

作り手が本当に作りたかったと思われるロードスター、990S。これからロードスターの購入を検討している人は、ぜひ一度試乗してみてほしい。

 

 

 

 

ところで、試乗の最中、直6FRセダンの新型MAZDA6、出るんですか?と営業マンに聞いてみた。

「出ますよ、CX-60と同じプラットフォームで...!」